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理系白書より 

最近のMSNの理系白書は文系白書になりつつある。
なんだか内容がいわゆる理系の置かれている立場や目指すべき立場とズレている様な気がする。この理系=研究者と考えてしまうからだろうか?
はじめに、8/23の理系白書’06:第2部・頭脳争奪/4 地球規模、ようやく参戦を見てみよう。内容は立命館アジア太平洋大という大学が海外の学生を積極的に入学させる運動を行っていることから始まり、世界の優秀な学生を日本に呼ぼうという主旨の記事である。

まず、立命館アジア太平洋大のHPを見てもらえば分かるように、この大学は理系ではない。バリバリの文系である。つまり文系学部での海外からの学生勧誘運動を記事は紹介している。
疑問として、実際の理系学問の分野で外国人の大学生を受け入れて益になると考えている教員がどれほどいるのであろうか?
そして本当に海外の大学生を受け入れれば学問のレベルは向上すると記者は考えているのだろうか?

続いて、“英タイムズの世界大学ランキングで東大が16位で北京大が15位”という下りだが、このままでは技術力でアジアに抜かれますよと言いたいのだろうか?
これは明らかなミスリードである。確かに総合ランキングでは東大は16位だが、科学分野では東大は8位でアジアトップ、北京大は14位である。(大学ランキングは、THESDownload a full-colour PDF versionからダウンロード可能です)ちなみに科学分野のアジア2位はAustralian National Universityである。東大が順位を下げた原因は、主に芸術と人文科学分野である。
確かに、バイオ分野でアジアトップでは無いのは気になるが、東京大学は、総合的な科学技術ではアジアをリードしているし、世界の10指にはいる大学なのである。このことはもっと日本の誇りにすべきだ。もちろん、世界トップクラスの技術を維持するために絶え間ない努力をしなくてはならないが、技術力を売りにしている企業や大学では新たな技術や概念の創出に日々努力が行われている。

英タイムズの世界大学ランキングを出すのならば、日本の大学の科学分野での評価の高さをもっとアピールした方が、理系学生や理系に進学しようと思っている学生に勇気を与えるのでは無いだろうか?このランキングからは、日本の文系もっとがんばれよという結論の方がふさわしい気がする。

つづて、9/13の理系白書’06:第2部・頭脳争奪 私の提言/下 石倉洋子氏では、海外からの優秀な人材を日本に呼ぶことと日本の学生も海外で修行することを提唱している。理系研究者の視点から見れば何を今更、といった所であろうか。
まず、石倉洋子氏は、日本の大学の授業のあり方について言及されている。大学院生を想定しているのか、それとも学部生を想定しているのか分からないが、どちらにせよ氏の言うような授業や大学の形態はあまり良いアイディアとは言えない。

まず、大学院生を想定したメッセージとするならば、ずいぶんとピントがずれている。
修士課程や博士過程に在籍したものならば分かるだろうが、理系において大学院では授業などないに等しい。東大の博士課程において授業から得る必要な単位は3年間で授業数にして数コマであったと思う。他の時間は研究に費やしていた。研究というのは知識だけではできない。知識ばかりでなく氏の言う“疑問を持ったり考えたり論理的に推察する“といった事を行う。
氏の言っている事は理系の大学院ならば日常的に行われている事である。すなわちこの記事の主張は理系大学院生には当てはまらない。もちろん、私は現在の大学院の教授が学生を教授のやり方で指導するといった師弟制度が完璧とは思っていない。むしろ改善すべき点は多々あると思う。

では、学部生を想定したメッセージなのだろうか。それでもピントがずれている。
物事に疑問を持つことや論理的な考え方を学部生から身につけることに異論はないが、それよりも将来論理的な考えや発想をするのに必要な基礎知識を身につける方が先決である。一度分野を決定してしまうと他分野の勉強をするのは閾が高くなる。例えば、私はバイオの研究をしているが、学生時代に勉強した数学、物理学や化学の知識が意外な所で役に立つ。今では時間もなくなかなか体系的に勉強することは難しいが、以前に勉強し知っていればふとしたときにその部分だけ勉強し、実際の研究に役に立てる事ができる。
つまり、若い内こそ色々な学問と接することが重要である。だから、氏の言うように疑問を持ったり論理学を学ぶ事も大切だが知識を学ぶこともそれ以上に大切なのだと思う。

また、学部生の内から優秀と思われる学生を大学に呼んでも日本の科学レベルはそれほど向上しないだろう。
日本の科学レベルを向上させるには海外のラボと密接なコネクションを持ち、その分野のメインストリームにあるようなラボが増えなくてはならない。そのためには、日本に海外を経験したポスドクの受け入れ体制を確立させることが先決である。
氏の指摘するような“帰ってくる価値が日本にあるかどうか”で優秀な研究者が帰ってくるかどうかが決まるというよりは、日本にポストがあるかないかの方が切実な問題なのだ。

日本は物質的な資源に乏しい。日本が世界に誇る資源は、技術や知識などである。この技術や知識を生み出しているのは理系といわれる人々である。しかしながら技術から利益を得ているのは経営者という(乱暴な言い方をすれば)主に文系の人々である。絶え間ない技術革新を行っている研究者、そしてその中で重要なポジションを占めなくてはならない博士はもっと誇りを持って仕事をすべきである。そして、自分の研究の価値を正確に推し量る力を養うべきである。

記者も理系を記事の看板に掲げるのならば理系の置かれている現状を把握し、希望が持てるような記事を発信してもらいたい。

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